眼内悪性リンパ腫について

疫学

原発性眼内リンパ腫(PVRL)は、中枢性悪性リンパ腫(CNSL)のサブタイプである。中枢神経系への浸潤は一般的で、発症時に16~34%、経過中に35~90%の症例で発症する。逆に、PCNSL患者の約15-25%はVRLを発症する(Grimm et al, 2007, 2008)。

この希少疾患に関するデータベースが、未だ世界的に存在しないため、PVRLの真の発生率は不明である。
カナダの大病院で行われた20年間のレトロスペクティブ研究により、ブリティッシュコロンビア州におけるVRLの発生率は1990年から2010年の間に10万人あたり0.017~0.048人と推定されている(Levasseur et al, 2013)。日本においてPVRLの患者数は増加傾向にあり,本邦のぶどう膜炎初診患者の全国調査では、2002年の調査では全ぶどう膜の1.0%であったのに対し、2009年には約 1.9%に増加していた。

PVRL generally affects adults in their thirties to eighties, with 63 as the median age of diagnosis and no gender ratio (Grimm et al, 2007).

PVRLは通常、30~80代の成人に発症し、これらの患者の診断時年齢の中央値は63歳で、男女比は無い(Grimm et al, 2007)。

PVRL による CNS 再発の病態生理については、十分な知見が得られていない。CNS 再発が、診断時にルーチンの磁気共鳴画像法(MRI)では検出できない不顕性脳病変によるものか、それとも眼から網膜や視神経を介した微小浸潤 microinvasion の播種によるものかは、まだ議論のあるところである。マウスモデルを用いた実験では、RPEから脈絡膜への播種という仮説が支持されている。リンパ腫のCSF や脳への転移がない PVRL 患者の脳脊髄液から IL-10の上昇が認められている。