眼内悪性リンパ腫について

眼内悪性リンパ腫の硝子体生検の方法

硝子体生検による硝子体液の採取は、20~25Gの硝子体カッターのいずれでもよいとされているが、口径が大きいほうがリンパ腫細胞を破壊しにくい可能性がある。まず右手の硝子体カッターを眼内に挿入し、無灌流下で左手の綿棒で眼球を徐々に圧迫して眼圧を保ちながらカッターを回転させ、無希釈の硝子体液を1mL以上採取する。この際、細胞破壊を減らすため硝子体カッターのcut rateは低め(400~ 800rpm)にし、硝子体カッターの吸引チューブ側に5~10mLのdisposableシリンジを装着して、手術助手がそのシリンジをゆっくり引いて陰圧をかけることで硝子体液を吸引する。十分量の吸引が終わったら、術者は眼球圧迫を保持したままの状態で硝子体カッターを眼内から抜去し、助手が眼内灌流のラインを開いて眼内灌流を開始、術者はゆっくりと眼球圧迫を弱めていく。圧迫の解除が早すぎると、眼球虚脱から眼内に駆出性出血を起こす危険性がある。吸引チューブの中に溜まっている硝子体液もdisposableシリンジに吸引して、無希釈サンプルとして検査に提出する。

続いて眼内灌流を開始した状態で、硝子体手術を継続する。カットレートは高め(2,500rpm) でもよい。手術終了時に廃液カセットに溜まった廃液(40~80mL)を希釈硝子体液サンプルとして検査に提出する。無希釈硝子体サンプルは、細胞診と IL- 10/IL- 6濃度比の測定に用いる。一方、希釈硝子体液はIgH遺伝子再構成、フローサイトメトリーによるリンパ腫の表面マーカー(CD19/CD20/ CD3、κ/λ、CD4/CD8など)のほか、遠心・沈殿させてホルマリン固定し、セルブロックとして免疫組織学的診断(免疫染色)に用いる。

細胞診・病理組織学的診断は通常クラス4以上を陽性と判定する。その際、VRLの硝子体液中には、リンパ腫細胞のみならず炎症反応によって硝子体内に遊走する反応性リンパ球も多数混在するため細胞診のみで30%のみしか診断することができない。実際、硝子体内の反応性リンパ球の中には、IL- 17を産生し、腫瘍細胞の増殖抑制に働くリンパ球(tumor -induced lymphocyte)の存在が報告されている。VRLの国際的な診断基準は、いまだ確立されていないが、細胞診・病理組織診陽性を基本とし、IL-10/IL-6(>1)、IgH遺伝子再構成(陽性)、フローサイトメトリーでB細胞リンパ腫の表現形(陽性)などの検査も同時に行い、細胞診クラス3(異型細胞は認めるが悪性と断定できない)の結果も含めて複数項目が陽性となった場合にVRLと診断している施設が多い。