眼内悪性リンパ腫とは

眼内悪性リンパ腫の治療について

眼内悪性リンパ腫に対する治療法は、眼局所治療や化学療法、放射線治療などが試みられているが、未だ標準治療は確立されておらず、血液学会や米国のNCCNのガイドラインもない状況である。東大病院では、これまでに眼内悪性リンパ腫に対して、メトトレキサート(MTX) 眼内注射10回+R-MVP療法 5クール+低線量全脳照射(23.4Gy)+HD-AraC2コースの臨床試験を行い、中枢再発を抑制し予後を改善させた。

①眼局所治療
1)眼局所放射線治療

対向2門照射で35-40Gyを1回2Gy以下に分割して眼球および視神経管も含め照射することで、高い寛解率(87%)が得られ、放射線網膜症は起こりにくく、現在でも第一選択となりうる治療である8)。しかし、放射線治療のみでは再発率が高く、特に脳病変が出現すると生命予後は非常に悪くなるため、近年は高齢者で全身化学療法が行えない場合や化学療法と組み合わせて選択されることが多い。 (Isobe K, et al. Leuk Lymphoma 2006, Ferreri AJ et al. Ann Oncol 2002)

2)メトトレキサート(MTX)硝子体注射

MTX硝子体注射(400μg/0.1ml硝子体注射週2回を1ヶ月、週1回を1ヶ月、月1回を9ヶ月間)行った報告がされている。IOL26例44眼にMTX硝子体注射を行った。95%の症例は13回以内の注射により眼内病変の寛解が得られた。54%(14例/26例)は脳中枢神経系リンパ腫あるいは全身悪性リンパ腫のため初回注射から17ヶ月以内に死亡した。(Frenkel S, et al. Br J Ophthalmol. 2008)

②局所治療との化学療法・放射線治療の組み合わせ
1)眼局所放射線治療と化学療法の組み合わせ

MD Anderson Cancer Centerでは、眼放射線治療と化学療法(R-MPV+HD-AraC)を組み合わせて治療を行った。中央値4.2年で64%の患者が、再発し進行した。中枢浸潤再発は53%に認めらており、中枢浸潤の抑制は十分ではなかった。 (Cheah CY et al, Neuro Oncology 2016)

2)MTX眼内注射+化学療法+全脳予防照射

東大病院では、眼内悪性リンパ腫に対して、メトトレキサート(MTX) 眼内注射10回+R-MVP療法 5クール+低線量全脳照射(23.4Gy)+HD-AraC2コースを臨床試験で行った。眼内悪性リンパ腫の4年無病再発生存率を72.7%、中枢再発10%と中枢再発を抑制し予後を改善したことを報告した。(Kaburaki et al. British Journal of Haematology 2017) 詳細は以下に説明 https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/articles/a_00599.html

図2-3 眼内悪性リンパ腫の治療図2-3 眼内悪性リンパ腫の治療