眼内悪性リンパ腫について

PVRLの遺伝学的特徴

近年、PVRLにおいてMYD88 L265PおよびCD79BのITAM領域のY196付近の変異がそれぞれ69~80%および35%と高頻度に検出されることが報告されている。MYD88 変異、特に L265P はVRLで非常に頻度が高く、その検出により硝子体手術検体の診断率が大幅に向上している。CD79B Y196変異を有する6人の患者は、CD79B WTを有する11人の患者(67カ月;P = 0.0135)よりも有意に早く(16.5カ月)CNS疾患を発症した。

MYD88 の検査は、VRLの補助診断に利用されている。VRL患者23 人とぶどう膜炎患者 40 人のグループでは、感度は 75%、特異度は100% であった。最近では、いくつかのグループが分子プロファイル技術を使用して、CDKNA2などの腫瘍抑制遺伝子のコピー数損失を特定したり、次世代シーケンス(NGS)を使用して複数の候補遺伝子に変異がないかスクリーニングしている。細胞材料に加えて、硝子体検体の無細胞上清または房水から抽出されたDNAは、NGSまたはデジタル液滴PCRのいずれかによって変異を検出できる。